もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。
目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)
2013
仕事からの帰り道、彼女に会った。
「こんばんは」
朗らかに微笑まれるとこちらの目じりも思わず下がってしまう。
彼女は近所に越してきた奥さんだ。今日もふわふわの洋服を着ていた。フリルのエプロンが良く似合う。
「今日は帰りが遅いんですね」
「ええ、まぁ」
「またウチに寄って行きませんか? おいしいお茶ごちそうしますよ」
彼女が上目遣いで俺を見る。これは明らかに俺を誘っている。
これまで俺は彼女の誘いを断れずにいた。その可愛い顔も、まとう香りも俺好みだったから。
それが向こうの作戦だと知っていても俺は彼女に甘んじていた。
でも、このままではまずい。
危機を感じた俺は今日、わざと帰宅時間をずらした。けど実際は彼女の方が一枚上手だったようだ。
今日誘いに乗ったら、本当にダメになる。
こんな俺を妻はどう思うだろう。
怒るだろうか。呆れるだろうか。
「どうぞ、遠慮しないで」
囁く彼女に俺は唾をのむ。
漂うのは甘い香り。俺の脳がじわじわと溶けていく。
この後の幸せを想像したら、いてもたってもいられなくなった。
「じゃあいちごのタルトを――テイクアウトでふたつ」
「ありがとうございます」
注文を受けた彼女が店の中へ入っていく。
こうして俺は今日も甘い毒に犯されるのであった。(554文字)
近所にできたケーキ屋の前での葛藤。久々に短くまとまった♪
「こんばんは」
朗らかに微笑まれるとこちらの目じりも思わず下がってしまう。
彼女は近所に越してきた奥さんだ。今日もふわふわの洋服を着ていた。フリルのエプロンが良く似合う。
「今日は帰りが遅いんですね」
「ええ、まぁ」
「またウチに寄って行きませんか? おいしいお茶ごちそうしますよ」
彼女が上目遣いで俺を見る。これは明らかに俺を誘っている。
これまで俺は彼女の誘いを断れずにいた。その可愛い顔も、まとう香りも俺好みだったから。
それが向こうの作戦だと知っていても俺は彼女に甘んじていた。
でも、このままではまずい。
危機を感じた俺は今日、わざと帰宅時間をずらした。けど実際は彼女の方が一枚上手だったようだ。
今日誘いに乗ったら、本当にダメになる。
こんな俺を妻はどう思うだろう。
怒るだろうか。呆れるだろうか。
「どうぞ、遠慮しないで」
囁く彼女に俺は唾をのむ。
漂うのは甘い香り。俺の脳がじわじわと溶けていく。
この後の幸せを想像したら、いてもたってもいられなくなった。
「じゃあいちごのタルトを――テイクアウトでふたつ」
「ありがとうございます」
注文を受けた彼女が店の中へ入っていく。
こうして俺は今日も甘い毒に犯されるのであった。(554文字)
近所にできたケーキ屋の前での葛藤。久々に短くまとまった♪
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プロフィール
HN:
和
HP:
性別:
女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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