もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。
目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)
2013
ソフト部に入部してから三カ月目、晴天の霹靂が起きた。
今度の大会のスターティングメンバーに私が選ばれたからだ。
突然の抜擢に私は驚いた。思わず顔がにやけるけど、その喜びはすぐ消えた。
レギュラーの人たちに緊張が走っている。
私が選ばれた、これが事実ならレギュラーの誰かが一人外される、それもまた事実。
メンバーから外されたのは三年生だった。
毎日練習を欠かさない、努力家の先輩だ。先輩にとって次の試合は学生生活最後の大会だった。
名前を呼ばれ、先輩はうつむいた。悔しさをにじませている。何とも言えない重い雰囲気が回りを覆った。
無理もない。私はまだ三か月で、向こうは三年間の実績があったのだから。
私は唇を噛みしめた。感情を噛み砕き闇に放り込む。何とも言えない苦い味がする。
その日、練習が終わったあとで先輩に声をかけられた。
「レギュラー入りおめでとう」
先輩の言葉に悪意はない。だからこそ私は戸惑う。出てきた返事はは「すみません」の一言だった。
「何言ってんの。選ばれたことに自信を持って」
「でも」
「私に負い目を感じなくていい。ウチの部は実力主義、私情を挟まないって分かってるでしょう?」
先輩の言葉に私は頷く。ここで自分を卑下したら私は先輩の努力を否定することになる。それこそ先輩に失礼だ。
「誰に何を言われても堂々としてなさい。そして私が到底かなわないって思うような活躍をしなさい」
先輩の激励に私ははい、と大きな声をあげた。かぶっていた帽子を取り、先輩に一礼する。本当なら私のことを恨んでも仕方ないはずなのに。先輩の気づかいが嬉しくて、私は瞳を潤ませた。(698文字)
スポ根と勝負は切っても切れない関係。それもまた事実
今度の大会のスターティングメンバーに私が選ばれたからだ。
突然の抜擢に私は驚いた。思わず顔がにやけるけど、その喜びはすぐ消えた。
レギュラーの人たちに緊張が走っている。
私が選ばれた、これが事実ならレギュラーの誰かが一人外される、それもまた事実。
メンバーから外されたのは三年生だった。
毎日練習を欠かさない、努力家の先輩だ。先輩にとって次の試合は学生生活最後の大会だった。
名前を呼ばれ、先輩はうつむいた。悔しさをにじませている。何とも言えない重い雰囲気が回りを覆った。
無理もない。私はまだ三か月で、向こうは三年間の実績があったのだから。
私は唇を噛みしめた。感情を噛み砕き闇に放り込む。何とも言えない苦い味がする。
その日、練習が終わったあとで先輩に声をかけられた。
「レギュラー入りおめでとう」
先輩の言葉に悪意はない。だからこそ私は戸惑う。出てきた返事はは「すみません」の一言だった。
「何言ってんの。選ばれたことに自信を持って」
「でも」
「私に負い目を感じなくていい。ウチの部は実力主義、私情を挟まないって分かってるでしょう?」
先輩の言葉に私は頷く。ここで自分を卑下したら私は先輩の努力を否定することになる。それこそ先輩に失礼だ。
「誰に何を言われても堂々としてなさい。そして私が到底かなわないって思うような活躍をしなさい」
先輩の激励に私ははい、と大きな声をあげた。かぶっていた帽子を取り、先輩に一礼する。本当なら私のことを恨んでも仕方ないはずなのに。先輩の気づかいが嬉しくて、私は瞳を潤ませた。(698文字)
スポ根と勝負は切っても切れない関係。それもまた事実
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プロフィール
HN:
和
HP:
性別:
女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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