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もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。 目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)

2024

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2013

0408
 颯爽と現れた教授の姿に誰もが青ざめた。手ぶらで会場に来たからだ。
「教授、学会の資料はどうしたんですか?」
 俺は恐る恐る聞いてみる。
 昨日、一人で発表の練習をするからと言って教授は資料を持ち帰っていた。必ず明日持ってくるから、と言いながら。 
「家を出た時はちゃーんとバッグに入れて持っていたんだけどねぇ。カラスにでも持ってかれたかな?」
「つまり、ここに来る途中に無くしたということですね」
「まぁ、そういうことですねぇ」
 次の瞬間、教授の座っていた椅子が吹っ飛んだ。もの凄い音が部屋の中をこだまする。
 ひっくり返った教授の頬には見事な痣ができあがっていた。見事なパンチを披露したのは教授の一番弟子。彼女はありえない、と嘆いている。
「一体どうするんですか? これから発表ですよ? 今から資料とスライド作り直しても間にあわないじゃないですか!」
「まぁ落ちつきたまえ、ここは礼儀を重んじる国、日本だ。
 君は知っているかい? この国は海外に比べて落し物が戻ってくる確率が高いんだ。特に財布や携帯電話は七割近く持ち主に戻ってくるという結果が出ている。これって素晴らしいことだよね」
「で?」
「私のバックの中には学会の資料の他に携帯と財布が入っていた。つまり、今頃私のバッグは優しき誰かが拾っているかもしれない。そして何らかの形で会場に連絡が来るだろう。その可能性は十分にありえる」
「ではそれまで待っていろと?」
「そういうことだねぇ」
「もう一発殴られたいですか?」
 ドスの効いた声が辺りを震わす。やばい、こうなるともう歯止めが効かなくなる。
 俺は彼らの視界に入らないよう後ずさりをしながら部屋を出て行く。そっと扉を閉めてから数秒後、雷が盛大に鳴り響いた。(737文字)

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プロフィール
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女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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