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もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。 目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)

2024

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2013

0521
 その日、私は大学の図書館に向かっていた。自習室で卒論を書くためだ。生憎自習室は席が全部埋まっていた。
 私はくるりと踵を返し、重い本棚の裏にある閲覧室の机に向かう。ここは自習室よりも狭いけど、まぁ仕方がない。
 私は本を読んでいる人の右隣に座った。机に借りてきた資料を広げ、シャーペンを握る。今書いている論文は三時までに提出しなければならない。
 私は深呼吸をしたあとで、机に向かった。
 しばらくして、昼を伝える鐘が鳴った。隣りの人が席を立つ。それから一分も立たないうちに席が埋まる。私はちらりと横を見見た。机には難しそうな資料が積まれている。見る限り、向こうも私と同じ状況らしい。
 私は自分の作業に戻った。再びペンを走らせ集中する。
 小一時間ほどして論文が佳境に入る。一気に仕上げようとペンが加速する。その時、腕に衝撃が走った。自分の腕が隣りの人にぶつかったのだ。触れた瞬間、私はしまったと思う。
「すみません」
 無意識の行動を私はすぐに謝った。隣りの男性は「大丈夫」と答える。穏やかな笑顔に救われた私は一つ呼吸を置いた。
 やばいやばい。気をつけなきゃ。私は気を取り直すとペンを持ちかえ、作業に戻る。
 それから三十分ほどで論文は仕上がった。誤字脱字がないかチェックした所で、隣りの男性が私に声をかけてきた。
「君って両利きなの?」
「え?」
「さっきまで左だったのに、今度は右で書いてたから」
「ああ」
 私は右手に握ったペンを見つめた。
「普段は左利きなんですけど、今みたいに机を並べていると、右利きの人とぶつかっちゃうんで。そういう時だけ右で書くんです」
「へぇ。左利きの人って、見えない所で苦労しているんだね」
 彼は感心したように頷いているが、私はまぁ、と曖昧な返事をする。それよりももっと気になったことがあるからだ。
「あの、そちらは大丈夫なんでしょうか?」
「へ?」
「そちらもレポートの提出あるんじゃないんですか?」
 私は彼の机に目を向ける。題名と数行だけ書いたレポートはお世辞にも進んでいるとは思えない。まさか、そっちに気を取られて進まなかったってことはないよね?
 私は一抹の不安を抱えつつ、彼の反応を待った。(923文字)


左利きの人は結構右も使える人が多いような。そんな感じで書いてたけど、やっつけ感のある仕上がりになってしまった

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プロフィール
HN:
性別:
女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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