もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。
目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)
2014
隣りのクラスに足を踏み入れると給食を食べ終えたばかりの幼馴染に思いっきり嫌な顔をされた。
「一体何の用だよ」
「今日授業で当たる日なんでしょ。だから宿題見に来た」
「何で隣りのクラスのおまえがわざわざ来るんだよ」
「ぶつぶつ言わないでほら、ノート出しなさいよ」
さぁ、さあ、と私は催促する。私の勢いに呑まれたのか、幼馴染のウメは自分の宿題ノートを渋々見せてくれた。薄っぺらいページをめくると、目前に清々しいくらいの真っ白さが広がる。私は思わず苦笑した。
「また授業聞かないで寝てたんでしょ」
仕方ないなぁ、そんな気持ちで私はノートと一緒に出された教科書を手に取った。マーカーで記した単語を調べるべく、古くなった辞書を広げる。
突然苗字を呼ばれた。声の会った方を見やる。すると教室の廊下側にある窓から真田先輩が顔をのぞかせていた。
「こんな所にいたのか」
「どうしたんですか先輩?」
「今日の部活、先生の都合で休みになったから。豊川から他の一年たちに伝えておいてくれる?」
「あ、はいっ」
真田先輩の指示に私は即答した。じゃあ、と言ってその場を離れて行く先輩の背中を見送る。その背中が見えなくなると、三秒でいびきをかいて寝てしまったウメをジト目で見やった。その無防備な耳を思いっきり引っ張ってやった。
「ってっててて」
「何でウメは突然狸寝入りなんて始めたのかなぁ?」
「あの先輩苦手なんだよ。顔見だけで胸のあたりがムカムカするし頭は痛くなるし。あー最悪」
そう言ってウメは机に頭を沈めた。腕が床に向かってだらりと伸びていく。無気力を体で語る幼馴染に私は眉をひそめた。あのさぁ、と思わず口走ってしまう。
「先輩がウメに何かした? してないよね? なのに顔を見ただけで最悪って何? それって人としてどうなのよ?」
「んなこと言われたって気持ち悪くなるんだから仕方ねーだろ」
「そういう意地悪な態度とってるといつか自分に返ってくるんだからね! だいたいウメは――」
ちょうどその時、昼休み終了を告げるチャイムが鳴ってしまった。本当はもっと文句を言いたかったんだけど、仕方ない。この続きは次の休み時間に言うことにしよう。
「とにかく、ウメはシャキっとしなさい! でなきゃいつかバチが当たるよ」
私は捨て台詞を残してウメの反応を待った。ここまで言えば何かしら言葉が返ってくるだろう。すると数秒後に顔を伏せたままの状態でうるせぇな、とかったるそうに呟く声が聞こえた。
「んなの俺が一番わかってんだよ。どいつもこいつも同じコト言いやがって……」
どうやら私と同じ気持ちでいる「人」はもう一人いるらしい。私は少しだけ口元を右上がりにすると自分の教室へと向かった。
「一体何の用だよ」
「今日授業で当たる日なんでしょ。だから宿題見に来た」
「何で隣りのクラスのおまえがわざわざ来るんだよ」
「ぶつぶつ言わないでほら、ノート出しなさいよ」
さぁ、さあ、と私は催促する。私の勢いに呑まれたのか、幼馴染のウメは自分の宿題ノートを渋々見せてくれた。薄っぺらいページをめくると、目前に清々しいくらいの真っ白さが広がる。私は思わず苦笑した。
「また授業聞かないで寝てたんでしょ」
仕方ないなぁ、そんな気持ちで私はノートと一緒に出された教科書を手に取った。マーカーで記した単語を調べるべく、古くなった辞書を広げる。
突然苗字を呼ばれた。声の会った方を見やる。すると教室の廊下側にある窓から真田先輩が顔をのぞかせていた。
「こんな所にいたのか」
「どうしたんですか先輩?」
「今日の部活、先生の都合で休みになったから。豊川から他の一年たちに伝えておいてくれる?」
「あ、はいっ」
真田先輩の指示に私は即答した。じゃあ、と言ってその場を離れて行く先輩の背中を見送る。その背中が見えなくなると、三秒でいびきをかいて寝てしまったウメをジト目で見やった。その無防備な耳を思いっきり引っ張ってやった。
「ってっててて」
「何でウメは突然狸寝入りなんて始めたのかなぁ?」
「あの先輩苦手なんだよ。顔見だけで胸のあたりがムカムカするし頭は痛くなるし。あー最悪」
そう言ってウメは机に頭を沈めた。腕が床に向かってだらりと伸びていく。無気力を体で語る幼馴染に私は眉をひそめた。あのさぁ、と思わず口走ってしまう。
「先輩がウメに何かした? してないよね? なのに顔を見ただけで最悪って何? それって人としてどうなのよ?」
「んなこと言われたって気持ち悪くなるんだから仕方ねーだろ」
「そういう意地悪な態度とってるといつか自分に返ってくるんだからね! だいたいウメは――」
ちょうどその時、昼休み終了を告げるチャイムが鳴ってしまった。本当はもっと文句を言いたかったんだけど、仕方ない。この続きは次の休み時間に言うことにしよう。
「とにかく、ウメはシャキっとしなさい! でなきゃいつかバチが当たるよ」
私は捨て台詞を残してウメの反応を待った。ここまで言えば何かしら言葉が返ってくるだろう。すると数秒後に顔を伏せたままの状態でうるせぇな、とかったるそうに呟く声が聞こえた。
「んなの俺が一番わかってんだよ。どいつもこいつも同じコト言いやがって……」
どうやら私と同じ気持ちでいる「人」はもう一人いるらしい。私は少しだけ口元を右上がりにすると自分の教室へと向かった。
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プロフィール
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女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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