もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。
目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)
2014
私は毎日夜明けとともに生まれる。あの人に選ばれた特別な素材で、それは丁寧に作られる。私を作った人はとても繊細な仕事をしていた。それぞれのパーツは手作りで、切り方もこだわりを持っている。
今日、あの人は私に青い瞳を与えてくれた。中にある白い輝きがとても美しい。全てが完璧だ。
私はこの人に作ってもらえたことを心から感謝した。完成したばかりの私は鮮やかな青色の箱の中でしばらくの間待たされた後で蓋を閉められる。
そのあと人の手によって私は動かされた。どこかは分からないが、とにかく騒がしい場所だった。時折美しい音楽が私の耳元に届く。同じ曲が三回ほど続くと、私がいた暗闇にひとすじの光が差し込んだ。
蓋を取ったのは私を作ったあの人ではない。その瞳は明らかに狩人の目に私は固くなった体を更に強張らせた。私はここで命を落とすのだと本能が悟ったのだ。
目があって十秒も経たず私は襲われる。まずは鼻をがぶり。そのあとで頬と目玉をもぎ取られた。悲鳴を上げられないよう口元を抑えると、後頭部を剥がされる。力の加減を知らないのか、私の顔はぐにゃりと潰れた。ピンク色の中身が飛び出す。
ヤツは私を細胞レベルまで粉砕すると自分の中へすべて取り込んでいく。私を全て平らげると満足げに笑った。残ったのは頭についていた鋭い角が二つだけ。ヤツはそれに興味がないらしい。私は再び暗闇の世界へと閉じ込められた。
――二度目に蓋をあけられたのはそれからまた数時間後のこと。
私をのぞきこんだのは私をつくったあの人だった。跡形もなく消えた私を見てにっこりと笑う。
「今日も全部食べたわね。えらいえらい」
「ママ。明日は仮面ライダーにして」
「はいはい」
創造は大変でも、破壊は至極簡単で。キャラ弁という名の私は毎回幼児という怪獣に跡形もなく消されてしまう。そしてふたり分の笑顔を与えるのだ。
今日、あの人は私に青い瞳を与えてくれた。中にある白い輝きがとても美しい。全てが完璧だ。
私はこの人に作ってもらえたことを心から感謝した。完成したばかりの私は鮮やかな青色の箱の中でしばらくの間待たされた後で蓋を閉められる。
そのあと人の手によって私は動かされた。どこかは分からないが、とにかく騒がしい場所だった。時折美しい音楽が私の耳元に届く。同じ曲が三回ほど続くと、私がいた暗闇にひとすじの光が差し込んだ。
蓋を取ったのは私を作ったあの人ではない。その瞳は明らかに狩人の目に私は固くなった体を更に強張らせた。私はここで命を落とすのだと本能が悟ったのだ。
目があって十秒も経たず私は襲われる。まずは鼻をがぶり。そのあとで頬と目玉をもぎ取られた。悲鳴を上げられないよう口元を抑えると、後頭部を剥がされる。力の加減を知らないのか、私の顔はぐにゃりと潰れた。ピンク色の中身が飛び出す。
ヤツは私を細胞レベルまで粉砕すると自分の中へすべて取り込んでいく。私を全て平らげると満足げに笑った。残ったのは頭についていた鋭い角が二つだけ。ヤツはそれに興味がないらしい。私は再び暗闇の世界へと閉じ込められた。
――二度目に蓋をあけられたのはそれからまた数時間後のこと。
私をのぞきこんだのは私をつくったあの人だった。跡形もなく消えた私を見てにっこりと笑う。
「今日も全部食べたわね。えらいえらい」
「ママ。明日は仮面ライダーにして」
「はいはい」
創造は大変でも、破壊は至極簡単で。キャラ弁という名の私は毎回幼児という怪獣に跡形もなく消されてしまう。そしてふたり分の笑顔を与えるのだ。
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プロフィール
HN:
和
HP:
性別:
女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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