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もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。 目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)

2024

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2014

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その日、廊下をゆっくり歩いていた私は通りすがりの風景に思わず見とれた。
 放課後の教室は茜色。きちんと整列された机に木の影が差している。窓を見やると真っ赤な太陽が樹木によって真っ二つに割れていた。真っ黒に焦げた枝の数々が私をじっと見据えている。こっちへおいで、と誘っている。
 私は一瞬だけ躊躇ったけど、勇気を持って一歩踏み入れた。教室には誰もいないけど本当は中に入るのすら恐れ多い。
 本来ならこの場所に私は居てはならないのだから。
 私は見えるのに見えないもの、あってないようなもの。この学校の生徒だけど、誰にも知られてはいけない存在なのだ。
 生徒はもちろん、先生と接触してはいけない。他の子が授業を受けている間は保健室から一歩も出ることはできない。
 その間、私は白いカーテンが引かれたベッドの上で勉強をする。教科書を読み、問題をひとつひとつ解いていくだけだ。分からない所は養護の先生が教えてくれるけどそれにも限界がある。そんなときは図書室の本が私の先生になってくれた。
 私の一日は家と学校との往復。登下校は車だから外の空気を感じることもできない。常に籠の中の鳥。でも家に閉じ込められていた頃よりずっとましだ。
 私の存在は稀有だから大事に育てられている。でも、それは体のいい言い訳でしかない。私を自分の手駒にしたい。だから逃がさないよう檻の中に入れている。私が幼い事を理由に支配しているのだ。
 私が学校(ここ)にいること、それは私の反抗であり自由なのだ。
 私は窓辺に佇む。横に大きく広がる枝を見上げた。
 もう少ししたら蕾が出るだろう。大きく膨らんで、いずれ綺麗な花を咲かせるだろう。
 私に与えられた自由は限られている。いつそれを失うかもわからない。でも貴方が咲くまで私はここにいる。
「もう少しだけ、頑張るから」
 小さな決意を押し殺すように私は呟いた。

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プロフィール
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女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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