もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。
目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)
2013
「ヒガシさん、おはよう」
「おはよ……どうしたの? こんな所で」
「見てのとおり、今日は歩いてきた」
「あっそ」
私はニシを素通りする。すると芸人ばりに頭を叩かれた。
「いったー、何すんのよ」
「お前はそれしか言えないのかっ!登下校は黒塗りのベンツがデフォの親友が歩いてきたんだぞ。おかしいと思わないか?何かあったって思わないか?」
「思わない。つうか、私はあんたを親友と思ったコトなんて一度もないんですけど?」
私の一撃にニシが吐血する。HPが相当削られたらしい。ニシがうずくまる。でもすぐに立ち上がった。
「ふふふ、そうか。分かったぞ。お前は俺を試しているな? そうやってそっけない態度を取って俺の気を引こうとしているんだ。そうだろう?」
このツンデレさんっ、そう言ってニシは私の背中をつつく。その指先からハートが飛ぶ。ああ、うざいったらありゃしない。
はっきり言おう。こいつは疫病神だ。それも最上級の。迷惑極まりない疫病神だ!
この目の前にいる勘違い男――ニシは年商数十億を稼ぐ某財閥の御曹司である。彼はどういう気まぐれか、私ら庶民と同じ公立高校に通っていた。そしてどういうわけか私を親友と呼び、つきまとっている。私たちのやり取りは漫才さながら、周りからは東西コンビと言われていた。
――って、説明している場合じゃない。このままだと遅刻してしまう。
私は近道を通ることにした。一本奥にある、細い路地裏を抜けて行く。すると、いかにもなヤンキーたちが私達を囲んだ。
「お兄さんたち、ここを通るなら通行料払ってもらえるかなぁ?」
「通行料? ここは公道でしょ? そんなの払う必要ない」
明らかなカツアゲに私は眉をひそめる。すると、ニシがこんなことを言い出した。
「通行料が必要なのか? いくらだ?」
「十万円。お兄さん払ってくれるのか?」
ヤンキーがふっかけた金額にニシはそれだけでいいのか? なんて言っている。ああそうね。ニシにとって十万ははした金だ。世間知らずの御曹司にヤンキー達が笑った。このままだとニシはお金を渡してしまうだろう。
でも「彼ら」がそれを許すかしら?
ニシが上着のポケットに手を入れた瞬間、風が抜ける。黒スーツの集団が私達の前を通り過ぎた。彼らはヤンキー達を抱え、建物の奥へと消えて行く。黒スーツの彼らはニシのボディガードだ。彼らは武道のスペシャリストで傭兵経験もあるらしい。この先の展開は――まぁ、想像にお任せしとこう。
拉致られたヤンキーたちよご愁傷様、今度カツアゲするときはもっと別の人を選んでね。
このように、ニシと一緒にいると何かしらの事件に巻き込まれる。
誘拐暗殺は日常茶飯事。カツアゲはまだ可愛い方だ。この間なんか、街中でバズーカ―をぶっ放され洒落にならなかった。これじゃ命がいくつあっても足りない。
「あのさぁ。いつものように車で行ってくれない?」
私はニシに頼んだ。お願いだから私を巻き込まないで。
「そうか。お前は俺の車に乗りたいのか。それは大歓迎だぞ」
私はニシの頭を思いっきりはたいた。おまえはそれしか言えないのか!
嗚呼、誰か。この勘違い野郎を何とかしてくれ。(1323文字)
御曹司と庶民のあれやこれや。
「おはよ……どうしたの? こんな所で」
「見てのとおり、今日は歩いてきた」
「あっそ」
私はニシを素通りする。すると芸人ばりに頭を叩かれた。
「いったー、何すんのよ」
「お前はそれしか言えないのかっ!登下校は黒塗りのベンツがデフォの親友が歩いてきたんだぞ。おかしいと思わないか?何かあったって思わないか?」
「思わない。つうか、私はあんたを親友と思ったコトなんて一度もないんですけど?」
私の一撃にニシが吐血する。HPが相当削られたらしい。ニシがうずくまる。でもすぐに立ち上がった。
「ふふふ、そうか。分かったぞ。お前は俺を試しているな? そうやってそっけない態度を取って俺の気を引こうとしているんだ。そうだろう?」
このツンデレさんっ、そう言ってニシは私の背中をつつく。その指先からハートが飛ぶ。ああ、うざいったらありゃしない。
はっきり言おう。こいつは疫病神だ。それも最上級の。迷惑極まりない疫病神だ!
この目の前にいる勘違い男――ニシは年商数十億を稼ぐ某財閥の御曹司である。彼はどういう気まぐれか、私ら庶民と同じ公立高校に通っていた。そしてどういうわけか私を親友と呼び、つきまとっている。私たちのやり取りは漫才さながら、周りからは東西コンビと言われていた。
――って、説明している場合じゃない。このままだと遅刻してしまう。
私は近道を通ることにした。一本奥にある、細い路地裏を抜けて行く。すると、いかにもなヤンキーたちが私達を囲んだ。
「お兄さんたち、ここを通るなら通行料払ってもらえるかなぁ?」
「通行料? ここは公道でしょ? そんなの払う必要ない」
明らかなカツアゲに私は眉をひそめる。すると、ニシがこんなことを言い出した。
「通行料が必要なのか? いくらだ?」
「十万円。お兄さん払ってくれるのか?」
ヤンキーがふっかけた金額にニシはそれだけでいいのか? なんて言っている。ああそうね。ニシにとって十万ははした金だ。世間知らずの御曹司にヤンキー達が笑った。このままだとニシはお金を渡してしまうだろう。
でも「彼ら」がそれを許すかしら?
ニシが上着のポケットに手を入れた瞬間、風が抜ける。黒スーツの集団が私達の前を通り過ぎた。彼らはヤンキー達を抱え、建物の奥へと消えて行く。黒スーツの彼らはニシのボディガードだ。彼らは武道のスペシャリストで傭兵経験もあるらしい。この先の展開は――まぁ、想像にお任せしとこう。
拉致られたヤンキーたちよご愁傷様、今度カツアゲするときはもっと別の人を選んでね。
このように、ニシと一緒にいると何かしらの事件に巻き込まれる。
誘拐暗殺は日常茶飯事。カツアゲはまだ可愛い方だ。この間なんか、街中でバズーカ―をぶっ放され洒落にならなかった。これじゃ命がいくつあっても足りない。
「あのさぁ。いつものように車で行ってくれない?」
私はニシに頼んだ。お願いだから私を巻き込まないで。
「そうか。お前は俺の車に乗りたいのか。それは大歓迎だぞ」
私はニシの頭を思いっきりはたいた。おまえはそれしか言えないのか!
嗚呼、誰か。この勘違い野郎を何とかしてくれ。(1323文字)
御曹司と庶民のあれやこれや。
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プロフィール
HN:
和
HP:
性別:
女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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