もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。
目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)
2013
気がつくと、私はガラクタの山にいた。満月が私を見下ろしている。私は数歩歩き、辺りを見渡した。
おーい、ここはどこだ? 誰かいないのか?
ありったけの声で叫ぶが何も返ってこない。
私はひと晩中歩きまわり、叫び続けた。
おおおい。誰かいないか、いたら返事してくれ。
月を見送り、朝日を迎え声も枯れ果てた頃、ようやく人間の気配を感じた。本当なんだってば、と男の子が叫んでいる。
「確かに犬の声が聞こえたんだ。ほら、聞こえるだろ?」
おおい、わたしはここだ。君達は誰だ?
「たぶんこのあたり……あ」
男の子が私を見つけ抱き上げた。
「やった――って、偽物かよ!」
男の子の落胆とともに私は地面に打ち付けられる。
ずいぶんな歓迎ぶりだな、君達は誰だ?
「たぶん、何かの拍子にスイッチが入ったんだろうね」
隣りにいた女の子は言うと、私を拾い腹に触れる。ぶちんと何かが切れる音とともに私の声と動きは封じられた。
「ちぇっ、本物だったらブローカーに高く売りとばせたのに」
「がっかりするのは早いわよ。偽物でも中身はリサイクルできる。少しでもお金になるものはとっておかなきゃ」
ナイフ貸して、と女の子が言う。次の瞬間私のお腹に衝撃が走った。ざく、べりべり。ふわふわの皮が剥がれる。心臓をえぐり取られた。
今度目が覚めたら、私は何に変わっているのだろう。
以前のような愛玩ロボットか、機械の一部か。あるいは兵器になって人間を殺しているかもしれない。
私は自分の運命を嘆くことはなかった。私は金属の塊、感情なんて最初から持っていないのだから――
引越の整理をしている間に眠ってしまったらしい。
私は分解したばかりのコードや金属の中心にいた。
膝の上に犬のぬいぐるみがある。腹のスイッチを入れると犬が歩き始める。数歩歩いてはしゃがんで、きゃんきゃんと吠えまくる。
私は夢の内容を振りかえり、思わず苦笑した。(812文字)
よくある夢オチ。
おーい、ここはどこだ? 誰かいないのか?
ありったけの声で叫ぶが何も返ってこない。
私はひと晩中歩きまわり、叫び続けた。
おおおい。誰かいないか、いたら返事してくれ。
月を見送り、朝日を迎え声も枯れ果てた頃、ようやく人間の気配を感じた。本当なんだってば、と男の子が叫んでいる。
「確かに犬の声が聞こえたんだ。ほら、聞こえるだろ?」
おおい、わたしはここだ。君達は誰だ?
「たぶんこのあたり……あ」
男の子が私を見つけ抱き上げた。
「やった――って、偽物かよ!」
男の子の落胆とともに私は地面に打ち付けられる。
ずいぶんな歓迎ぶりだな、君達は誰だ?
「たぶん、何かの拍子にスイッチが入ったんだろうね」
隣りにいた女の子は言うと、私を拾い腹に触れる。ぶちんと何かが切れる音とともに私の声と動きは封じられた。
「ちぇっ、本物だったらブローカーに高く売りとばせたのに」
「がっかりするのは早いわよ。偽物でも中身はリサイクルできる。少しでもお金になるものはとっておかなきゃ」
ナイフ貸して、と女の子が言う。次の瞬間私のお腹に衝撃が走った。ざく、べりべり。ふわふわの皮が剥がれる。心臓をえぐり取られた。
今度目が覚めたら、私は何に変わっているのだろう。
以前のような愛玩ロボットか、機械の一部か。あるいは兵器になって人間を殺しているかもしれない。
私は自分の運命を嘆くことはなかった。私は金属の塊、感情なんて最初から持っていないのだから――
引越の整理をしている間に眠ってしまったらしい。
私は分解したばかりのコードや金属の中心にいた。
膝の上に犬のぬいぐるみがある。腹のスイッチを入れると犬が歩き始める。数歩歩いてはしゃがんで、きゃんきゃんと吠えまくる。
私は夢の内容を振りかえり、思わず苦笑した。(812文字)
よくある夢オチ。
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プロフィール
HN:
和
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性別:
女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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