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もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。 目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)

2024

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2013

0412
 僕には同い年の妹がいる。母親違いの妹だ。
 父は僕が生まれて間もなく母と離婚した。原因は父の浮気だと聞いた。つまり彼女は父の浮気相手の子供ということになる。
 彼女の顔は写真でしか見たことがなかった。向こうは僕の顔を知らない。この先もずっと関わらないものだと思っていた。
 彼女がこの学校に転入してきたのは一年前の今頃だった。
 俳優の才能を見込まれた彼女は地方から上京した。僕が通っている学校は芸能クラスがあり、俳優やアイドルの卵たちが在籍している。
 生徒にとって芸能人が転入してくることは日常の一部でしかない。だが、僕にとっては何とも言いようのない、苦い事件であった。
 僕は極力彼女に関わらないよう過ごすことにした。移動教室の時も彼女が通らない道を選んだ。学校では常に目立たない存在であり続けた。
 だが僕の努力は半年で崩されることになる。
 あれは校庭の木々が赤く染まり始めた放課後のことだった。
 僕は資料室で本を読んでいた。部屋の扉が開く。突然現れた妹に僕は息を飲んだ。だが彼女のかくまって、の言葉で僕は我に返った。
 彼女を書棚の奥に誘導し廊下を騒がす輩を巻く。ほどなくして静寂が戻った。
「助けてくれてありがとう」
 別に、と僕はつっぱね、読みかけの本に目を落とす。彼女には早々に退散してほしかった。
 少しの間をおいてから彼女が近づく。僕の背後に回る。
「あれってなに?」
 彼女の質問に僕が顔をあげる。そこには携帯電話のディスプレイが。二人の顔が揃った所でシャッターが切られる。
「な」
「私、ここ気に入っちゃった。また来てもいい?」
「だめ」
「じゃあ、これに【私の彼氏】ってデコって親にメールする」
 彼女が携帯をいじりはじめたので、僕は慌ててそれを制する。本気でやめてほしい、と懇願した。
「じゃあ、私もこの部屋使っていい?」
 こうなると勝手にしろといきがるのが精いっぱいだった。
「じゃ、今日から二人の秘密の場所ね」
 じゃあね、と軽くウインクして彼女は資料室から去っていく。僕はがっくりとうなだれた。
 こうして僕は二重の秘密を抱えることになる。(891文字)

滞っている短編連作のプロローグ的なもの。

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プロフィール
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性別:
女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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