もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。
目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)
2013
「あなた新入生?」
「はい」
「それ、売り物じゃないから」
学食のおばちゃんの言葉には殺気があった。
私が手にしていたのはアイスの乗ったプリンで、それは最後のひとつだった。
カウンターにいるおばちゃんは私をじろりと見る。後ろで作業していた他のおばちゃんも私を睨んでる。何か怖い。そこにある包丁でぶすりと刺されそうな雰囲気だ。
仕方なく、私はプリンを戻して杏仁豆腐の皿を取った。お金を払って友達のいる席を探そうとした時、
「あらいらっしゃーい」
食堂のおばちゃんの声色が甘ったるいものに変わった。あまりの豹変ぶりに鳥肌が一気に立つ。一体何事?
「今日はカレーとハンバーグがあるんですけどぉ、どちらにしますぅ?」
「じゃあカレーでお願いします」
男性の返事にはぁい、と答えるおばちゃん。会話の相手は男子学生だ。ネクタイの色からして三年生のよう。
サラサラの前髪は長すぎず短すぎず、金縁の眼鏡が理知的だ。顔のパーツもほどよくおさまっていて文句なしにカッコいい。
私が唖然とした顔で見ていると、先輩と目が合った。やばい。ガン見していたのが恥ずかしくなって私は目線を下に向ける。ちょうどお盆が目についたが、そこにのったものを見て更に驚愕する。
ご飯はてんこもり、カレーのトッピング全部乗せ、サラダは盛りに盛って芸術的な花の形をしていた。この量を一人で食べきれるかも怪しい。そもそもカレー皿にハンバークがおさまってる時点で終わってる。最初から彼にメニュー選ばせる必要ないじゃん。
先輩は失礼、と声をかけてから私の横をすり抜ける。きらびやかなオーラをまとい、見えない風を吹かせながら。
気がつけば食堂にいる全ての女子が先輩に釘付けになっていた。ハートマークがあちこちに飛んでいる。
つまりこの学校であの人だけが特別な存在なのだ。
私はため息をつく。実を言うとこういう雰囲気はあまり好きではない。『あんなこと』があったならなおさらだ。極力関わらないようにしなければ。
私は心の中で決意を固めると、改めて友達のいる席を探した。(867文字)
「はい」
「それ、売り物じゃないから」
学食のおばちゃんの言葉には殺気があった。
私が手にしていたのはアイスの乗ったプリンで、それは最後のひとつだった。
カウンターにいるおばちゃんは私をじろりと見る。後ろで作業していた他のおばちゃんも私を睨んでる。何か怖い。そこにある包丁でぶすりと刺されそうな雰囲気だ。
仕方なく、私はプリンを戻して杏仁豆腐の皿を取った。お金を払って友達のいる席を探そうとした時、
「あらいらっしゃーい」
食堂のおばちゃんの声色が甘ったるいものに変わった。あまりの豹変ぶりに鳥肌が一気に立つ。一体何事?
「今日はカレーとハンバーグがあるんですけどぉ、どちらにしますぅ?」
「じゃあカレーでお願いします」
男性の返事にはぁい、と答えるおばちゃん。会話の相手は男子学生だ。ネクタイの色からして三年生のよう。
サラサラの前髪は長すぎず短すぎず、金縁の眼鏡が理知的だ。顔のパーツもほどよくおさまっていて文句なしにカッコいい。
私が唖然とした顔で見ていると、先輩と目が合った。やばい。ガン見していたのが恥ずかしくなって私は目線を下に向ける。ちょうどお盆が目についたが、そこにのったものを見て更に驚愕する。
ご飯はてんこもり、カレーのトッピング全部乗せ、サラダは盛りに盛って芸術的な花の形をしていた。この量を一人で食べきれるかも怪しい。そもそもカレー皿にハンバークがおさまってる時点で終わってる。最初から彼にメニュー選ばせる必要ないじゃん。
先輩は失礼、と声をかけてから私の横をすり抜ける。きらびやかなオーラをまとい、見えない風を吹かせながら。
気がつけば食堂にいる全ての女子が先輩に釘付けになっていた。ハートマークがあちこちに飛んでいる。
つまりこの学校であの人だけが特別な存在なのだ。
私はため息をつく。実を言うとこういう雰囲気はあまり好きではない。『あんなこと』があったならなおさらだ。極力関わらないようにしなければ。
私は心の中で決意を固めると、改めて友達のいる席を探した。(867文字)
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プロフィール
HN:
和
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性別:
女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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