もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。
目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)
2013
清々しい空が広がったその日は青天の霹靂とも呼べる出来事があった。以前結婚寸前までいった元カレが私の住んでいるアパートに現れたのだ。私がなんで、と目を丸くしてるとヤツは開口一番、また俺と付き合ってくれ、と言い出した。私ははあぁ?と声を上げる。何いってんだコイツ的な目で見ていると、ヤツはもう一度言った。
「また俺の女にならないか?今度は悪いようにしない」
それを聞いたとたん、私の中に燻っていたものが噴火した。頭の中でヤツとの過去が巡り堪え切れない衝動が走る。
「それって付き合い始めた十年前に戻れってこと? 随分簡単に言うけれど。私はゲームのキャラか何かですか? 過ごした日々は全て水に流せってことですか? あんたが浮気したせいで相手から様々な嫌がらせを受けてたことも、結婚が破談して身も心もボロボロになったことも、それを親の金で済ませようとしたことも。全て忘れてリセットしろってことですか? それはまた大層なことを言いますねぇ。そんな暴言吐くのは親の血ですか?」
私は積年の怨みを淡々と吐くと台所へ向かった。引き出しから包丁を抜き、ヤツの前に突き出す。本当に親と同じ色の血が出るか確かめたくなったのだ。
「あと十数える間にここから失せろ、でないと刺す」
私は本気で脅すとカウントダウンを始めた。ヤツは一瞬きょとんとした顔で私を見ていたが、そのうち声を上げて笑った。やれるものならやってみろ、と挑発する。
「おまえは俺を殺せない。絶対できない」
その自信に満ちた発言に私の顔がひきつった。カウントダウンはすでに後半を迎えている。包丁を握った手に力がこもる。唇かゼロの振動を伝えると、私はヤツに突進した。これから来る衝撃に備えぎゅっと目を瞑る。確かに包丁の刃はヤツの体を貫通した。私の体をごっそり連れて。振り返った私にヤツは俺を殺せないってのはそういうことだ、と言う。
「どうやら俺は幽霊になったらしい、つまりは死んだってことだな」
ヤツは特に悲観することはなく淡々と述べる。それを聞いて私の目元がさらにひきつった。そんなわけない。逃げと悪運だけが取り柄のヤツがそんな、簡単に死ぬわけがない!
私は再びヤツに立ち向かった。けど、何度突進してもヤツの体から血は流れず手応えすらない。十回ほど同じことを繰り返すと、いい加減認めてくれないかなぁ、とヤツが言う。息絶え絶えの私の顔に鼻先を近づけた。ヤツを至近距離で見るのは久しぶりだ。肌の張りが消え少しやつれた顔に別れてからの年月を感じる。
「わかったわよ」
私がしぶしぶ諦めて包丁を台所に戻す。ひととおり落ち着いた所でヤツは言った。
「見てのとおり、俺はこの世の者ではない。でもあの世にも行けずこの世界に留まっているんだ。たぶん、この世の未練を断ち切らないといけないんだと思う」
「で? 私に何をしろと?」
「俺の女になってくれ」
「あのさ。どうしてそういう展開になるわけ? 意味が全然わからないんだけど」
私が正当な理由を求めるとヤツはしぶしぶ話始めた。
ここまで書いておきながら、作者はヤツの真意を全く考えてないという(汗 そんな話。
「また俺の女にならないか?今度は悪いようにしない」
それを聞いたとたん、私の中に燻っていたものが噴火した。頭の中でヤツとの過去が巡り堪え切れない衝動が走る。
「それって付き合い始めた十年前に戻れってこと? 随分簡単に言うけれど。私はゲームのキャラか何かですか? 過ごした日々は全て水に流せってことですか? あんたが浮気したせいで相手から様々な嫌がらせを受けてたことも、結婚が破談して身も心もボロボロになったことも、それを親の金で済ませようとしたことも。全て忘れてリセットしろってことですか? それはまた大層なことを言いますねぇ。そんな暴言吐くのは親の血ですか?」
私は積年の怨みを淡々と吐くと台所へ向かった。引き出しから包丁を抜き、ヤツの前に突き出す。本当に親と同じ色の血が出るか確かめたくなったのだ。
「あと十数える間にここから失せろ、でないと刺す」
私は本気で脅すとカウントダウンを始めた。ヤツは一瞬きょとんとした顔で私を見ていたが、そのうち声を上げて笑った。やれるものならやってみろ、と挑発する。
「おまえは俺を殺せない。絶対できない」
その自信に満ちた発言に私の顔がひきつった。カウントダウンはすでに後半を迎えている。包丁を握った手に力がこもる。唇かゼロの振動を伝えると、私はヤツに突進した。これから来る衝撃に備えぎゅっと目を瞑る。確かに包丁の刃はヤツの体を貫通した。私の体をごっそり連れて。振り返った私にヤツは俺を殺せないってのはそういうことだ、と言う。
「どうやら俺は幽霊になったらしい、つまりは死んだってことだな」
ヤツは特に悲観することはなく淡々と述べる。それを聞いて私の目元がさらにひきつった。そんなわけない。逃げと悪運だけが取り柄のヤツがそんな、簡単に死ぬわけがない!
私は再びヤツに立ち向かった。けど、何度突進してもヤツの体から血は流れず手応えすらない。十回ほど同じことを繰り返すと、いい加減認めてくれないかなぁ、とヤツが言う。息絶え絶えの私の顔に鼻先を近づけた。ヤツを至近距離で見るのは久しぶりだ。肌の張りが消え少しやつれた顔に別れてからの年月を感じる。
「わかったわよ」
私がしぶしぶ諦めて包丁を台所に戻す。ひととおり落ち着いた所でヤツは言った。
「見てのとおり、俺はこの世の者ではない。でもあの世にも行けずこの世界に留まっているんだ。たぶん、この世の未練を断ち切らないといけないんだと思う」
「で? 私に何をしろと?」
「俺の女になってくれ」
「あのさ。どうしてそういう展開になるわけ? 意味が全然わからないんだけど」
私が正当な理由を求めるとヤツはしぶしぶ話始めた。
ここまで書いておきながら、作者はヤツの真意を全く考えてないという(汗 そんな話。
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プロフィール
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和
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女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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