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もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。 目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)

2024

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2013

0927

  昨日臨時収入が入ったので休日の今日は買い物に出かけることにした。
 私はスキップを踏みながらマンションをあとにする。出た瞬間、前に止まっていた郵便屋のバイクが目にとびこんだ。目立つ赤色に私は思わず体を強張らせる。向かいにある床屋の赤い看板を見て思わずう、と唸り声をあげてしまう。
 赤色に敏感なのは朝、テレビの占いで「赤い色に気をつけて」みたいなことを言われたからかもしれない。占いはあくまで占い、と割りれたらいいのだけど、一度見てしまったものだからどうにも頭から離れないのだ。
 気づけば目の前の信号は赤、車道に止まった車も赤、道路の反対側で待つ人の服も赤。赤、赤、赤――嫌でも色が目につく。こういうのを先入観とでもいうのかしら。とにかく赤がちらついて困ってしまった。こんなんじゃせっかくの買い物も楽しめやしない。
 仕方なく私は近くのセレクトショップに入りサングラスを買う。予定外の出費はちょっとだけ痛かったけど、でも今着ている服にぴったりのものが買えたからよしとする。かけてみると、赤ばかり際立つ世界は全て灰色に染まった。うん、これでいい。私は颯爽と街中へ繰り出す。お気に入りの店をはしごして、気に入ったものを次々に購入した。
 帰りの電車で、紙袋を幾つも抱えた私はほくほくしていた。買い物に夢中になりすぎてお昼ごはんを食いっぱぐれちゃったけど、いいものが沢山買えたからいいや。
 私が買ったものを思い出しながらにやにや笑っていると、抱っこされた赤ちゃんと目があった。その可愛らしいさに更に口元が緩む。するといきなり赤ちゃんが泣きだした。母親は慌てて赤ちゃんをなだめ始める。私の周りの視線がそちらに集中する。ええと。この場合私が原因? になるんだろうか。
 少しだけ罪悪感を感じた私は、うつむいた時に流れ落ちた髪をすくって耳にかけようとする。そしてサングラスの存在を改めて思い出した。ああ、もしかしたら。
 サングラスを外すと案の定、赤ちゃんが泣きやんだ。ほっとした私と赤ちゃんの母親に笑みが戻る。そして何となく視線を足元に向けて――私は愕然とした。ちらりと見えたひとつの紙袋の中身、それが赤色に染まっていたからだ。私は紙袋に手を突っ込んで戦利品を確認する。見れば今日買った服や小物、アクセサリーに至るまで赤で埋め尽くされている。
 そういえばこれまで一度もサングラスを外してなかった。買い物もかけたままだったし、普段はデザイン重視で服を選んでいる。だから色にまで気が回らなかった。
 私はずらりと揃った赤色に唖然とする。そして諦めた。外は茜色に染まっている。まさに赤日和にふさわしい締めくくりとしか言いようがない。私に思わず苦笑が広がった。

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女性
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すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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