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もの書きから遠ざかった人間のリハビリ&トレーニング場。 目指すは1日1題、365日連続投稿(とハードルを高くしてみる)

2024

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2013

0922

 大学でお世話になった教授が名誉ある賞を頂いたと聞いて、急遽OB会が開かれることになった。
 俺は二十年ぶりに大学を訪れる。まだ建て変えていない講堂、当時の面影が残る旧友たち――全てが懐かしいものばかりだ。けど、何かが物足りない。何が足りないのだろう。
 久しさにキャンパスを歩きながら、俺は旧友との話に耳を傾けながら俺はぐるぐると頭を巡らせる。一向に思い出せない。気分転換にちょっとだけ視点を変えた。仲間たちから一歩引いて周りの景色を眺め――隣りのビルが茜色に染まった瞬間、違和感の正体に気づいた。そうだ、「アイツ」の姿がないんだ。
 大学時代、俺はアイツと学を共にした。アイツは俺達から一歩引くような感じで、周りを見ていた。垢抜けない田舎者の顔。服のセンスも古くて無口だった。孤独を自ら好むようなふしがあった。見かねた俺が合コンに誘うとアイツはいつも困ったような顔をした。ノリが悪いなぁ、と思っていたが、ある日、アイツ宛ての手紙を拾ってその理由がはっきりした。アイツには遠距離中の彼女がいたんだ。
 西日がまぶしい研究室でアイツは同封されていた写真を俺に見せてくれた。セピア色に染まった女性はアイツには勿体ないほどの美人で、清楚な感じだった。お互い仕事や勉強で忙しくて、会えるのは年に一度故郷に帰省する時だと聞いていた。メールや携帯が当たり前のこの時代に紙とペンを取って、研究室の片隅で手紙を書いていたのがとても印象的だった。
「なぁ、アイツはどうしてる? 今日は仕事で来れないのか?」
 俺がアイツの話題を振ると、ゼミの奴らがきょとんとした顔をした。隣りにいたシュウがアイツって誰のこと? と聞いてくる。
「同じゼミの『アイツ』だよ。一緒に研究してた」
「院生の大沢先輩のこと?」
「違う。俺らと同級生の――」
 俺はアイツの名前を口にしようとして――口ごもった。確かに顔ははっきりと覚えている。名前を聞いた覚えがあるのに、その名を思い出せない自分にひどく驚いた。
 それは一時的な忘却とは違う。確かに俺はアイツ宛ての手紙を見た。だが宛名の部分だけモザイクがかかったようにぼんやりとしている。それを一生懸命振り払おうとすると、こめかみに鈍い痛みが走った。
 何かを絞り取られるような感覚に俺は思わず呻く。眉がひくひくと痙攣した。
「おい、どうした?」
 シュウの言葉に俺ははっとする。気がつくと額に大量の汗をかいている。
「大丈夫か? 顔が真っ青だぞ」
「ああ、何ともないって」
 俺は笑顔を浮かべた。ところでさ、と言葉を続ける。
「俺、さっきから何の話してたんだっけ?」
「おいおいおい。話題振ってきたくせにもう忘れたのかよ。ボケるには早いぞ」
 シュウに背中を軽く叩かれ、周りの奴らが笑う。まぁいっか、と俺もおどけると今日の主役が顔を覗かせた。品の良い清楚な老夫人を連れている。
 俺たちは背を正すと、無愛想な教授に深く頭を下げた。


主人公が見たのは若き時代の教授だった、という話。たぶん、古い過去との間にネジレでも起きたのでしょうというオチで


 

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2013

0920

 頃合いを見て訪れた図書室はとても静かだ。カウンターにいた女の子に見覚えがあったので、私はチャンスとばかりに声をかけた。
「加賀谷さん、だよね?」
 私の声に彼女はぴくりと肩を揺らした。ゆっくりと顔を上げる。
「ええと、御園さん? だっけ?」
 想像よりも低い声が私の耳に届く。彼女は読みかけのページにしおりの紐をかけると、本を閉じた。はるか昔に活躍した人の顔が描かれた表紙が私の目につく。
「それってファーブルの本? ファーブル、好きなの?」
「全然。虫も大嫌い」
「だったら何で読んでたの?」
「虫もファーブルも嫌いだけど物語は面白い。だから読んでた」
 それは私の予想の斜め上をいく答えだった。彼女のぶっきらぼうなもの言いに私の心がうずく。さっきまで人の機嫌を伺うような言葉ばかり聞いていたから彼女の存在がとても新鮮に感じた。
「加賀谷さんって駅前のマンションに住んでいるんだよね?」
「そうだけど」
「私も昨日からそこに引っ越したの。ねぇ、今日一緒に帰っていい?」
「そんなことして大丈夫?」
「なんで?」
「さっき他の子『たち』に一緒に帰ろうって誘われてたでしょ?」
「ああー」
 私は帰りの会が終わってからのことを思い出す。
 転校初日の放課後、私が新しい教科書を赤いランドセルに詰めていると、それぞれのグループのリーダーらしき子たちに囲まれた。
「御園さんって駅前のマンションに住んでいるんだよね」
 最初私にに話しかけてきたのは、このクラスで比較的可愛い顔立ちをした子だった。あとで街を案内するから一緒に帰ろうと誘われる。すると、負けじと他の一人が駅のショッピングモールに可愛い雑貨屋さんがあるから一緒に行こう、と言い出した。私が曖昧な返事をしていると今度は別の一人が私の家にこの間買ったゲームあるから遊ばない? と右腕を引く。かといえばウチ犬飼っているから見せてあげる、と左腕を引く。それぞれが自分の売りを前面に出していて――みんな、転校生の私を自分のグループにひきこもうとしている。
 まぁ、これまでに何回も転校を繰り返した私だから、そういった女の子の事情はなんとなく読めていたし、似たような風景は何度も見ている。自分の取り巻きをつくることに彼女たちは必死だ。でも見ている側からしてみれば醜いだけのこと。ドン引きした私は先生に呼び出されていたんだっけ、と嘘をつくことでその場を逃げたのだ。
「あの人たちの誘い断って私みたいな変人選んだらクラスで『ボッチ』決定になるんだけど。ああボッチって一人ぼっちのことね」
 加賀谷さんの言葉はごもっともだ。私が見る限り、彼女はクラスの中で何処のグループにも所属してないようだ。他のクラスの子や男子と話をするけれど休み時間はだいたい一人でいて、教室の隅っこで本を読んでいた。
「どうするの? そうなってもいいなら私は別に構わないけど」
 言葉はそっけないけど、その裏に親切がちらりと覗かせる。それを聞いて私は更に嬉しくなった。
「別にいいよ。私、仕事終わるまで待ってるから。一緒に帰ろう」
 私がにやりと笑うと、彼女が目を丸くした。そのあとで御園さんって変、と言う。加賀谷さんほどじゃないもん、と私が言うと彼女が笑う。加賀谷さんの控えめな笑顔はクラスのどの子よりも可愛いく美しかった。

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2013

0919

 彼女が最後のデートに選んだのは家からほど近いところにある河川敷だった。
 ここは僕がはじめて彼女に出会った場所だ。二年前の春、朝河川敷で犬の散歩をしていた僕は、遊歩道でランニングをしている彼女とすれ違った。はっきりいって一目ぼれだった。彼女に出会えたことで僕はこれまで嫌がっていた早起きも犬の散歩も大好きになった。初めて挨拶を交わしたのはその一か月後、声をかけるのに勇気がいった。
 初めて気持ちを打ち明けたのは更に二か月後のことだ。そこで僕は彼女が僕と同じ気持ちを抱いていたことを知った。その日からここは僕らにとって「はじまりの場所」になった。ここに二人で来るのは久しぶりのことだ。
 僕と彼女の仲はすでに冷え切っていた。それはそれは喧嘩の数を忘れるくらいに。きっかけは些細なことだったと思う。でもお互いに疑いを持ち始めた瞬間僕らは道をたがえた。僕らは何時しかお互いの琴線を超える言動をした。たぶん彼女は今も僕のことを許してはいない。僕だって同じだ。まだ彼女のしたことを許そうとは思わない。僕たちの間にできた溝は深くて、潜ったら最後、息を詰まらせて死んでしまうだろう。神様が出会った頃まで時間を戻して「ここからまた始めよう」と言われたとしても僕たちの仲が修復できるとは思わない。
 彼女は土手に立ちつくしている。ここから見える風景は僕らにとって宝物だった。それは二人の思い出の場所だからじゃない。コンクリートに囲まれた暮らしを強いられている僕らにとって、僅かに残る緑の風景はとても貴重で、癒される。どす黒い気持ちも嫌なことも全て浄化してくれるからだ。
 時折もの凄い音を立てて電車が橋を通過する。それにつられ土手の花がそよそよと揺れる。少し尖っていて、ざらざらした草に触れると香りがふんわりと鼻に届く。
 きがつくと彼女は目を閉じていた。この景色を五感で感じ取ろうとしている時の彼女はとても無防備だ。付き合い始めの頃はその顔を見るたびにキスをしたい衝動に駆られた。というか、何度か実行した。
 今思えば甘酸っぱくて恥ずかしい出来事も今は遠い昔の話だ。彼女がゆっくりと瞼を開ける。僕が当時のことを思い出したせいか、彼女の気持ちを確かめられずにいられない。
「もしかして、昔のこと思い出してた?」
 彼女はううん、首を横に振った。
「カズくんとは行く所までいっちゃったから、もうそんな感傷はないんだけどね。ただ、ここで初めて会ったならここで別れた方がいいのかな、って。私はここが大好きでこれからも大好きでいたいから。元カレとの思い出の場所じゃなくて、新たな旅立ちの場所として記憶に残したいなって」
 それは彼女らしい考えだなと思った。僕もそれでいいんじゃないかと思った。僕もこの場所が一番のお気に入りだったから。僕はこの町を出て行くけれど、何処にいってもこの風景を思い出すだろう。旅立ちの場所、それは今の僕たちにふさわしい言葉なのかのしれない。
 一陣の風が僕らを通り抜けた。
 土手に広がる丸い蒲公英がふわりと揺れる。綿毛たちが巣立っていくのを僕たちはただ見つめていた。彼らが空の色に溶けてしまったあと、彼女がありがとう、とぽつり呟く。
「別れる前に一緒に来れてよかった。私のわがままに付き合ってありがとう」
「それじゃ、行くから」
 別れを告げる僕に彼女は小さく頷いた。大好きな場所に背を向ける。振り返るのはやめた。今は夕陽がとてもまぶしいから、まぶしくて目に染みるから。だから前だけ向いて歩くことにした。

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2013

0918
この間俺は親父と派手に喧嘩をした。原因は俺の進路問題だ。先日学校から渡された進路希望用紙に俺は白紙のまま提出した。後日指導室に呼ばれ、延々と説教混じりの話を聞かされたが、俺は「じゃ、先生が適当に決めて」と言って突っぱねたのである。
 それを聞き、俺の将来を心配した担任は親に連絡した。電話を受けたのがたまたま親父だったのも運が悪かったとしか言いようがない。
 珍しく家族が揃った夕飯の席でお前は何になりたいんだ、と親父に聞かれた。俺は親父のような人間じゃなければ何でも、と答えた。親父みたくなりたくない――それは俺の本心からの願いだった。まぁ、そのあと人格を否定した親父に思いっきりグーで殴られたわけだけど。
 そういうわけで今、俺と親父は冷戦状態に入っている。この時間はとっくに家に帰って部屋でゲームをしているのだが、残念なことに今日から親父の勤めている工場は季節外れの夏休みに入った。家に帰ればあの仏頂面が待っている。顔を合わせたらきっと進路についてあれやこれやと話をしなきゃならない。でもどう話合っても平行線のままなのは分かりきったこと。だからここで時間を潰すしかなかった。
 台風の翌日は暑いと聞くけど、今日は涼しい風が吹いていた。連日の最高気温が三十五度を超えていただけに、五度下がっただけでも涼しく感じる。慣れというものは恐ろしい。俺はコンビニで買ったペットボトルに口をつけた。炭酸の粒が口いっぱいに広がって脳を刺激する。公園を走り回るガキどもは体力の温存と言うものを知らない。遊びに全力投球だ。
 最初はぼんやりとその様子を見ていた俺だがそのうち、砂場で遊んでいた一人のガキに注目した。ガキは最初、平日休みらしき父親と砂の山を作っていた。父親はトンネルを作ろうか、水でも流そうかと言うけど、ガキは父親の言葉を無視し完成直前の山をあっけなく踏みつぶした。そのあとブランコにむかって一目散に走る。ぶんぶん揺らしたかと思ったら滑り台をあっというまに逆走し、ジャングルジムの頂上を目指す。
 父親は子供と遊びなれていないのだろうか。子供の一つ一つの行動に驚き目を泳がせていた。ちょっと走るだけで転ぶから、と大きな声を上げている。他の子を押しのけ割り込む姿を見て、止めなさいと叫んでは近くにいる母親に頭を下げている。ガキはガキで人の気を引きたくてやったことなのだろう。でも父親そんなガキの気持ちを知らない。ただ怒鳴っているだけだ。俺は思わず苦笑した。
 そんなの、放っておけばいいのに。
 俺は心の中でそう思う。子供なんて転べば痛い事を学ぶし、泣かれたら相手が傷ついたことを知る。順番を守らなければ自分が嫌われることを学ぶ。自分より年上の子には叶わない。でも下の子には優しくしなきゃいけない。
 俺にとって公園はそういう所だった。基本だけ教えれば後は実戦で学んでいくしかない。そんな場所。そう教え込まれたのは、母が子供より井戸端会議に夢中だったせいもある。母は母で、育児に参加しなかった親父へのストレスを発散させていたのかもしれない。親父は常に仕事を優先させていた。そのおかげで今の暮らしができているのは分かっているけど、今までの俺の人生は楽しくも幸せでもなかった。むしろ諦めることが多かった人生だったと思う。
 親父のような人間には絶対にならない。それは俺の誓いでもあった。だからどんなことがあろうともこの決意を覆すつもりはない。
 まぁ、そんなことはどうでもいい。今の俺には母がパートから帰ってくるまでの時間を何でどう潰すかが問題だ。
 俺は携帯で時間を確認する。そろそろケンタがこのあたりの道を通るだろう。ジュースでも奢って、適当な時間まであいつの家にでも転がり込もうか。
 ベンチから立ち上がった俺は再びコンビニを目指して歩いて行く。それは空がまだどこまでも青かった、夏の終わりのことだった。

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2013

0916
一時間前、私のもとにマザーコンピューターを見てほしいとの依頼が入った。それはまさにこの国が戦争の終結・勝利宣言を世界に公布したあとのことだった。
 マザーはこの国の公共機関や医療、会社の情報全てを管理する。有事の際は指揮官となり、軍隊に命令を下したり、民間人の保護をする。
 依頼者の話によると、先の宣言通り戦争は終結したが、マザーは戦闘状態を解除せず、未だ外に向かって攻撃を続けているのだと言う。強制終了をかけてもマザー自身がそれを突っぱね、命令を繰り返しているというのだ。
 マザーの居る場所は国の中枢機関を兼ねていて、地下にあるシェルターには国を背負う重鎮たちが閉じ込められている。このままだとあと数時間で地下の酸素も枯渇するだろう。うさんくさい政治家たちはどうでもいいが、マザーが暴走したままなのはまずい。開発者の血を引く者としてはなんとしても止めなければならない。
 依頼を受けた私は戦争で荒れた道をバイクで突っ走る。所々に空いている穴はマザーの命令により発射されたミサイルの痕だ。
 マザーは要塞化した都市の中心に――塔の中に君臨している。都市の入り口にはいると予想通り、銃弾とミサイルの雨が降っていた。私はその隙間を縫ってバイクを走らせる。時折タイヤが瓦礫にあたって何度も体が跳ねる。そのたびに後ろに座っているナナカの悲鳴が耳をつんざく。ふくよかな胸が私の背中により密着するのに、私は別の意味で興奮した。
 今、マザーはこの国を守っている。戦いが終結した今も。それは永遠に、マザーが生きてる限り続く。断ち切れないループを止めるには、マザーに直接ダイブして内部から命令プログラムを書き変えて誘導しなければならない。
 私は公衆電話を見つけるとバイクを止めた。公衆電話は緊急用にも使用され、マザーと直接繋がっていた。私は長い髪をゴムで束ねるとイヤホンに内蔵されているケーブルを引っ張った。片方を電話機に、もう片方を自分のこめかみにあるプラグに繋ぐ。視界が闇に包まれると、私の網膜に数字の羅列が走る。最後にEnterの赤い表示が中央に浮かんだ。
 指を動かし実行を指示する。視界に広がるいくつかの選択肢から自分の中に埋め込まれているプログラムを選んだ。それまでの間、コンマ一秒。バイクを運転するナナカは軌道に乗った私を固唾をのんで見守っている。
 ダイブするにあたっての環境設定が整った私は呼吸を整えた。それからダミーのプログラムを動かし、ダイブする頃合いを計る。幾つか流した後で頷く。カウントダウンを開始した。数が一つずつ消えてゆく。私はゼロと同時に意識をそちらに委ねた。
 いつもながらダイブの瞬間は気持ち悪い。沢山のノイズや情報が混乱して火花が走る。それでも私は混沌の中を泳いでいった。プログラムの中枢に突入すると既に並列化されているマザーの情報を引き出した。毎分ごとの更新の前に命令を書き換える。それぞれの条件を書きこんでいると、突然痛みが走った。ぱしん、と音を立てる脳内。私の細胞がもぎ取られた音だ。いってぇ、と叫ぶ私にナナカが大丈夫? と聞いてくる。
「大丈夫だ。なんともない」
 私は耳から出てくる煙を払いながら、舌打ちをした。すぐに傷ついた部分に修復をかけ、新たにプロテクトをかける。
 マザーの命令はすぐに変わるし、その条件も環境に適応して変化する。今だって、IF条件にある乱数配列が違うと突っぱねられた。一分前に得た情報を、マザーはすでに書き変えている。プロテクトがかかってなかったら今頃魂まで持って行かれてただろう。
 私はひとつため息をつく。細胞をひとつ持って行かれたのは悔しいが、この失敗で分かったことがひとつある。このままプログラムの書き変え作業を続けてもいずれマザーに追い越されてしまうということだ。
 だったらウィルスを注入してコンピュータそのものを破壊する方が早い。タイミングはエラーが出る前の数秒間。アイドルタイムが発生する瞬間にアタックをかける。
 私はもう一度ダミーのプログラムを起動させる、今度は失敗しない。私は慎重に指を動かすと混沌の中へ再び飛び込んだ。

ループ、と聞くと「輪」よりも「繰り返し」のイメージが強いのは、昔プログラミング学んでいたから。攻殻機動隊が好きなのでそれにも影響されてる内容。

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プロフィール
HN:
性別:
女性
自己紹介:
すろーなもの書き人。今は諸々の事情により何も書けずサイトも停滞中。サイトは続けるけどこのままでは自分の創作意欲と感性が死ぬなと危惧し一念発起。短い文章ながらも1日1作品書けるよう自分を追い込んでいきます。
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